準々決勝の第一戦、ブラジルはオランダに2対1で負けた。誰のせいか、などと馬鹿げたアンケートを取っている新聞のサイトもあるがここまでくると実力の差というより時の運が大いに作用する。ブラジルのオウンゴール、なんでもこれまで一回も欠かさず19回参加して初めてだと新聞は書いていた。前半はブラジルのペースで1点、しかし後半はまたもやワールドカップのブラジルにつきまとうあの魔のコーナーキックで2点を取られ逆転された。テレビ中継が終わっても花火は上がらず用事で銀行まで行ってみたが皆ようやく普通の生活リズムに戻っていた。
家に帰るとウルグアイ対ガーナの試合が始まったので観戦。1対1で延長戦にもつれこんだ。手に汗を握る白熱戦。終了間際ガーナのゴールへの連発に耐え切れずウルグアイの攻撃陣のSuárez選手があたかもバスケットボールを戻すように両手でボールをはねかえしてしまった。レッドカードをくらって即退場。それがなければもちろんガーナはゴールで1点追加で勝っていたところだ。当然ガーナのペナルティキック。けるのは今大会ですでにペナルティキックで2点を挙げているガーナの得点王Gyan選手、しかし彼の蹴った球は無情にもゴールバーにあたり上に跳ねた。涙を流して退場していたSuárez選手はそれを見て今度は飛び跳ねて大喜び。そしてついにPK戦に突入。初め二人ずつ無事けこみ2x2.3人目ウルグアイは1点、しかしガーナの3人目はウルグアイのゴールキーパーMusleraがキヤッチ。ウルグアイの4人目、ボールはゴールバーのはるか上を飛んでいった。ガーナの4人目もこれまたゴールキーパーに阻まれた。さてウルグアイの5人目はAbreu、ゴールにけこめばウルグアイの勝ち。彼はブラジル、リオの伝統チームBotafogoでプレイしていてニックネームはEl Loco (きちがい)。彼がボールをセットし距離をはかりボールをけるために動き出した時、アナウンサーがちょっと驚いたように言った「まさかここでCavadinhaをやるような気違いじゃないだろうな」彼はゆっくりとボールに近づきボールの下側をポンと軽くけった。ガーナのゴールキーパーはすばやく横に跳んだ。ボールは半円を描き倒れているゴールキーパーの上をゆっくりとゴールの中央に吸い込まれていった。その瞬間皆がAbreuに走りより抱きつく。こんな場合普通は殊勲のゴールキーパーがヒーローなのだが拍子抜けのゴールに皆があっけにとられ今までの緊張が一気に解け歓喜がAbreuを中心にウルグアイ選手団に爆発した。
実は彼、今年のリオ州選手権の決定戦の時もペナルティキックをこのCavadinha で決めFlamengoを2対1で破りチームを優勝に導いたといういきさつがある。その時もこのゴールは話題になった。アナウンサーもその時のことを覚えていてのコメントとなったのだ。さすがニックネームLocoのことだけはある。
こうしてスポーツドラマは幕を下ろした。
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