2011年3月26日土曜日
黒い牧童 Negrinho do Pastoreio
母を弟の住むVargem Grande Paulista に連れて行き今回はその先にあるSorocaba まで足を伸ばし妻の叔父を訪ねた。前の日泊まった弟の所は寒くてジャンパーを借りたがSorocaba は初めの日は用心して長袖シャツを着、翌日は半袖ですんだ。
上の写真は私達がSorocabaに立ち寄ると聞いてサンパウロから駆けつけてくれた妻の母方の叔母たちと。
後左からスミエ叔母さん、Zenaide叔母さん, 妻、スマコ叔母さん、前左から清の長男春男と叔父清
この話はその時のことである。朝のコーヒーの香りが下の階から漂ってきたので妻と二人で降りてみた。すると何か騒がしい。イタリア系の叔母が何かお手伝いさんに聞いている「マリア、私の鍵がどこを探しても見つからないけどお前知らないかい?」「いいえ、知りません」それを聞いた叔父「記憶をたどればいいんだよ、最後に使ったのはいつかね」叔母が「夕方マリアが帰るときに私が裏口のドアを開けて洗濯物を取り込んだのよ」
しかしずっと皆で探し続けて昼食時間を過ぎてもまだ見つからない。そこで叔母「いつも通りNegrinho do Pastoreioにお願いしよう、燃え尽きるまでには必ず出てくる」と言ってローソクを一本灯した。これはブラジルに伝わる民話で昔黒人の牧童が馬を一頭なくしたといって鞭打ちの後ありの巣にほうりこまれた。翌日主人が様子を見に行くと鞭打ちの跡形もなく少年は聖母マリア様と一緒に立っていた。それを見て主人はひれ伏して謝ったが少年は見向きもせずいなくなったはずの馬に飛び乗るとさっそうと草原を去っていった。いまだに彼は草原を馬で駆け回っていると言い伝えられている。その後何かなくなると彼を呼び出してろうそくを灯すとマリア様が照らし出してくれるという話が広まった。叔母は熱烈なこの話の信者で今まで一度も外れたことがないと言う。
やがてお手伝いのマリアが帰る時間がきた。彼女が自分が持っている鍵で裏口のドアを開けようとハンドバッグから鍵束をとりだした。そしてくびをかしげもう一度手をいれて言った。「ここにありました、そういえば奥様が昨日洗濯物を取りいれるときに私に渡したのでいつも通り私がドアを閉めてその鍵をハンドバッグに入れて帰りました。今朝来た時はだんな様が玄関に居られたので一緒に入り私の鍵は使いませんでした。」
ふとローソクに目をやった。ちょうど燃え尽きる寸前だった。
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