今朝ゆっくりと朝のコーヒーをとっていると外の門のブザーがやかましくなった。庭の遠くの方にいてもわかるようにオートバイのクランクションをブザーの代わりに付けている。そして今日は日曜日、家の前の通りは車も少ない。
ドアを開けると30未満と思われる青年が自転車を手に立っている。「お宅のサトウキビ売ってくれませんか?」前の通りから塀の高さを越したサトウキビが見える。今まで誰も家のサトウキビなんか買いに来たものはいない。これは自家用に植えてあるもので大きくなったら10本程取って青空市でサトウキビを機械で絞ってその汁を売っている所に持ってい
き一緒に絞ってもらっている。約10リットルのサトウキビ汁が絞れる。
「何本いるんだね?」「一本でいいんです。」そしてその次の言葉でそのわけがわかった。「妻が妊娠していてあちこち探したんですが見つからなくて・・」「わかったよ。そこで待っていな」と言って私はナタを持って2本のサトウキビを取ってきて渡した。「あのう、お値段は?」「いや、君の奥さんへのプレゼントだよ」「しかし2本もは・・・」「あと一本は明日に取っておきな」
ブラジルでは妊婦の食べ物、飲み物の願いをかなえてあげないとその食べ物、飲み物の顔をした赤ちゃんが生まれるという迷信がある。それが週日なら近くのスーパーなどで手に入るが日曜、祭日ではここエスピリトサント州では開いていない。そこで旦那衆の涙ぐましいまでの巡礼が始まる。
家には外から見える果物がまだある。ということはまだエピソードだあるということになる。これからは妻が話してくれたもの。
ある日妻が庭に出ていた時ブザーがなった。ドアを開けると若い男「お宅にGRAVIOLA(グラビオーラ(南国フルーツの一つ)がありますね?」「今は時期ではないので実は何もなっていませんよ」といってドアを閉めようとしても閉まらない、なんとその若者、ドアが閉まらないよう足を間に置いている。「じつは妻が妊娠しておりどうしてもグラビオーラが食べたいと言って聞かないので持って帰らないといけないのです。お宅のちょっと見せてもらいたいのですが」どうやらこっちを疑っているらしい。私のコメント「それで庭に入れたの?」「どうしても動かないので仕方ないでしょう。」
その若者、グラビオーラの木の周りを回ってようやく納得した。「本当になってないですね。それでも私が確かに探し回ったという証拠にグラビオーラの葉を頂けないですかお茶にして飲ませますよ。」「それなら枝を持って行けばもっと信用するんじゃない」と妻。
結果はどうなったかは知らない。
横に切ると星形になるCarambola(スターフルーツ)、これも道から見える。
ブザーが鳴ってまたしても若者。「カランボラの木が見えますが実を少し分けてもらいたいんです。実は妻がどうしても食べたいと・・」いつもの口上。この前、終わったばかりで今ないわよ。」「ちょっと見て来てください」仕方なく妻が見に行くとなんと時季外れの実が三つなっている。こういう事は今までなかったのだが妊婦の執念がそうさせたのか私達にも全然わからない。小さいレジ袋に入れて持って行ってやると眼を輝かせてお礼を何度も言って去っていった。
先週収穫したスターフルーツ |
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