2017年12月24日日曜日

聖しこの夜

今日はクリスマスイブ、朝早くからまぶしい日差しがさしこむ。
今年もあと一週間。思えば妻の膝の手術後の院内感染との戦いとの一年だった。一昨日医者から血液検査の結果がここ2か月安定しているので抗生剤の服用をやめようということになった。診察は3月、それまでに何か変わったことがあったらすぐ来るようにとのことで一応休止符(?)を打った。

これがきっかけで今までボヤーとしていたこれからの人生というものに真剣に向き合わないとという気持ちになった。体力・脳力の衰え、子供たちにも世話をかけるようになる、サラリーマンではなく時間に少し融通が利く娘が早くから自分の所に来るようにと言っていたが今は2018年12月31日と期限を切ってしまった。そうなるとこちらもスケジュールを練らないといけない。こちらからの蘭の花などを全部持って行けるように土地も用意したとか言って勝手に進めている。ちょっとこの頃焦ってきた。


この写真はバードウオッチングに使われる鳥笛でこの地方の伝統工芸品で木を彫りこんで作ってあるのだが一つだけ金属で作ってありこれだけがいろいろな鳥の鳴き声が出来るようになっている。するとこれ楽器として使えないのかなと思ってちょっと慣れてきたら簡単な歌をこれで吹いてみた。1年に数回、思いついた時にしか吹かないので上達しない。
いつだったか州の展示会にここの工房の作品が出ていたのでそこの若い主人と簡単な歌を吹きあったこともあった。
今日は『聖しこの夜」を吹いてみた。
これは鼻笛なので息は鼻から、そして口でおとの調節をする。



https://youtu.be/2Z0GVo1nO98

2017年9月30日土曜日

エスピリトサント州に40年


私達がエスピリトサント州に来て今日9月の末で早40年。過ぎた年月はアッというまだ。今日は二人で思い出話にふけることにした。

約17年間住んだ日本、ブラジルに来て日系人の多いサンパウロ州に約17年、そこを出て生後10か月の娘理奈をつれてここに移ってきた。同じブラジルの中、何も心配することはなかった。

ここエスピリトサント州は日本人が少ない。今でも日本人を初めて見たという人によく出あう。40年前理奈を抱いてヴィトリア(州都)を歩いていると「この赤ちゃん瀬戸物のように肌がすべすべだね。ちょっとさわってみてもいい?」などと立ち止まる人がいた。年に一度はサンパウロに帰っていたが誰も振り向いてくれる人はいなかった。

40年前ここに来た時、家族は三人。そして二人の男の子(カピシャーバと呼ばれる)がここで生まれ家族は五人となった。

今、三人の子供たちはそれぞれ家族を持ち他州に住んでいる。ということで今日は私と妻、二人での40年記念日を祝う。

2017年9月26日火曜日

固有名詞から普通名詞に変わったのはミョージョーだけではない


前ポストでミョージョーという固有名詞がインスタントラーメンを表す普通名詞になったと書いたがさらにあと3っつ気が付いたが他にあるかもしれない。

上の写真はブラジル発行のミニ・ポルトガル語辞書からとったものだが xerox または xeróx という項目がある。そして marca registrada (Xerox) {登録商標(ゼロックス)}と3行目に記してあるし cópia (コピー)も出ている。ポルトガル語で語頭の x はシャ、シェ、シ、ショ、シュ と発音され語尾の x はクスと発音されるので xerox は シェックス、そして  xérox  シェロックス、発音は前者がアクセントが後母音、後者は前母音になる。ということで二通りの読み方ができる。

はポルトガル語のアルファベットの中でも発音が一番多様な文字である。exemplo (エゼンプロ=例)では xe は ゼ とザ行の発音。ゼロックス と呼べそうだが語頭ではシェになるので残念。Excelente (エスセレンテ)では x は ス。ex-presidente  は元大統領で ex- はエイスと発音。Fixo (fix 英)の発音はfikso. とにかく X は読みがややこしい。
そして単独の時の読み方はシースとなる。レントゲン検査の時のX線 はポルトガル語では
raio X でこの時の X はシースと読まれる。

Xerox社がコピー機を売り出しそれが全世界に広まりブラジルではコピーは xerox またはxérox と呼ばれる普通名詞となった。さらに xerocar (コピーする)という動詞まで作られ 辞書に載っている。

時々(年に1度か2度)長男が我が家を訪れる。彼はひげが濃い。彼のために髭剃り(安全カミソリ)の新しいのを用意しておく。家に来た翌日彼が私に効く「パパイ、gillete (ジレッチどこにある」「上の風呂の戸棚に置いてあるよ」
Gilleteはアメリカの安全カミソリのメーカー。これが普及して簡単な1語でお互いに通じるので家でも使っている。ほかのメーカーのを買ってもこれで済ます。ひげそり器を文字通りにいうと aparelho de barbear だが長すぎて響きが悪い。やはり Gillete の固有名詞を使った方が歯切れが良い、いやひげ切れが良い。

3っつ目は4輪駆動のoff-road の車の総称になっている Jeep.





2017年9月23日土曜日

インスタントラーメンはミョージョー 




昨日近くの知り合いのブラジル人の家に行ってブラジルの政治汚職の話などで盛り上がっていた時そこの次男が帰ってきた。母親がさっと立ち上がって聞いた。「何か食べるかい、ご飯とフェイジョンとサラダがあるけどちょっと温めてやるよ」「友達の家で少しつまんできたよ」「よかったらミョージョーがあるけど」そこで妻、横から「それミョージョーじゃなくてマージ_(Maggi)だよ」「何言ってるの、私達にはインスタントラーメンはミョージョーに決まっているの、そんなことを言っても誰もわからないよ」。そして次男「ミョージョーなら食べるよ」

ブラジルではインスタントラーメンはすべてミョージョーであり誰もメーカー名では呼ばない。これにはブラジルで最初のインスタントラーメンがMiojoの名で売り出されたといういきさつがあるが実はその時は日本の明星食品のではなかったそうだ。

なぜそうなったかは私も良く知らなかったがネットで調べているうちにそのいきさつが分かった。麻生雅人氏のブログ  megabrasil.jp/20130815_1072/4/     で見つけた。
ブラジルのことが日本語でよく説明してある。

1970年代前半サンパウロ市の東洋街Liberdade で大学に通うべき弟道夫と一緒に下宿していた。下宿は日本人経営で台所が解放されていたので料理好きの弟はラーメンでいろんな味を試していた。彼の得意なカレーラーメンなどよく食べた(or 食べさせられた)思い出が残っている。

15年前位だったか近くの小さいスーパーでミョージョーを買うと抽選券がもらえますと大きく出ていて賞品は18段変速ギア切り替えの自転車だった。これはその店だけの抽選だし積んである箱も大したことはない。3箱買えば当たる確率20%になるぞ!
妻と相談してどうせ食べるものだし頑張って買おうということになった。
抽選があった翌日スーパーに行ったとき店員に聞いてみた。「昨日のミョージョーの抽選、誰が当たった?」「この通りの初めの角に住んでいるマリアさんですよ。しかもたった一枚の券だったそうですよ」

上の写真のインスタントラーメン、そういうことで全部ミョージョーです。



2017年7月20日木曜日

南米に記録的な寒波

今年の冬は例年より寒い。家の中でも長袖シャツと長ズボンを着ている。それがここ一週間続いている。昨日南部、南東部は記録的な寒波に見舞われ山岳地帯では雪が降ったとテレビのニュースで流していた。しかし積雪まではいかなかったようだ。

冬になると雪を一目見ようとその地方は観光客が訪れる。雪が見れれば大喜びで、昨日は前日の天気予報でもかなりの可能性が予想されていたので雪の降る中を観光客たちが初体験を楽しんでいた。「今年の1月の始めニューヨークに行ったが待望の雪は見れなかった。ここブラジルで見れてうれしい。」と喜びの顔で、「皆さんもいらっしゃい」と呼んでいた。
実をいうと私はまだブラジルで雪を見たことがない。その上、寒さが苦手なのでアルゼンチン、チリの観光には暑い時期を狙って行ったのでそこでも雪には会ってない。

南極からの寒冷前線はアルゼンチン、チリへと上がってきて、ウルグアイ、パラグアイ、ブラジルなどに向かってくる。今年はチリの首都サンチアゴではかなりの雪が降り電力供給にも支障をきたしたそうだ。今の時期チリ、アルゼンチンのアンデス地方はスキーのシーズンで北半球からもスキーヤーがやってくる。今年はアルゼンチンの冬の観光・スキー名所Barilocheを訪れたブラジルからの観光客達は寒さに耐えられず早めに引き上げたが飛行機は飛ばず空港で夜を過ごしたとニュースで出ていた。

今、娘が我が家に来ているが今日の夕方スマホでクリチーバに残った旦那と話していたが昨日は最低気温1度、今日は零下1.5度でスマホに映っている彼は雪山でも登るような服装をしていた。クリチーバはブラジルでは南から3番目の州都だが標高900メートルに位置するのでブラジルで1番寒い州都としても知られている。




クリチーバの観光スポットNo1の植物園も霜で覆われた。


池も凍ったクリチーバの冬。私たちは「寒い、寒い」と言いながら気温20度の居間でテレビのニュースを見ている。






2017年6月27日火曜日

共存共栄




以前、家で植えている果物ジャボチカバ(Jaboticaba)が鳥たちに先取りされ私達の食べる分もないのをこのブログに載せた。今度は別の木に今月またつぼみが出てきて大分収穫できそうな様子。これを全部鳥たちに取られるわけにはいかない。

ちょうど倉庫にビニールの目の小さい網を見つけたのでそれを張ることにした。木全体に張るとなると高いのでかなりいる。そこで大きな実のなる幹の周りだけに張ることにした。上の方の実はまだ小さいし梯子でも届かないので鳥用に残した。

実が熟れると皮が黒くなる。昨日妻が庭を散歩していると鳥たちが嬉しそうにさえずりながら木の上の方の実をつついて食べていたそうだ。その後、私が行って幹に付いている実をちぎりだすと上の方で飛びながら「ギギー、ギギー」と騒いでいる。文句を言っているみたいだ。

「鳥さん、そう騒ぐなよ、こちらにも半分獲る権利はあるんだよ」と諭したが、果たして納得したかどうか?

ここ一週間毎日1キロほど採れたJaboticabaの実

2017年6月25日日曜日

妊婦のわがまま







今朝ゆっくりと朝のコーヒーをとっていると外の門のブザーがやかましくなった。庭の遠くの方にいてもわかるようにオートバイのクランクションをブザーの代わりに付けている。そして今日は日曜日、家の前の通りは車も少ない。

ドアを開けると30未満と思われる青年が自転車を手に立っている。「お宅のサトウキビ売ってくれませんか?」前の通りから塀の高さを越したサトウキビが見える。今まで誰も家のサトウキビなんか買いに来たものはいない。これは自家用に植えてあるもので大きくなったら10本程取って青空市でサトウキビを機械で絞ってその汁を売っている所に持ってい
き一緒に絞ってもらっている。約10リットルのサトウキビ汁が絞れる。

「何本いるんだね?」「一本でいいんです。」そしてその次の言葉でそのわけがわかった。「妻が妊娠していてあちこち探したんですが見つからなくて・・」「わかったよ。そこで待っていな」と言って私はナタを持って2本のサトウキビを取ってきて渡した。「あのう、お値段は?」「いや、君の奥さんへのプレゼントだよ」「しかし2本もは・・・」「あと一本は明日に取っておきな」

ブラジルでは妊婦の食べ物、飲み物の願いをかなえてあげないとその食べ物、飲み物の顔をした赤ちゃんが生まれるという迷信がある。それが週日なら近くのスーパーなどで手に入るが日曜、祭日ではここエスピリトサント州では開いていない。そこで旦那衆の涙ぐましいまでの巡礼が始まる。

家には外から見える果物がまだある。ということはまだエピソードだあるということになる。これからは妻が話してくれたもの。

ある日妻が庭に出ていた時ブザーがなった。ドアを開けると若い男「お宅にGRAVIOLA(グラビオーラ(南国フルーツの一つ)がありますね?」「今は時期ではないので実は何もなっていませんよ」といってドアを閉めようとしても閉まらない、なんとその若者、ドアが閉まらないよう足を間に置いている。「じつは妻が妊娠しておりどうしてもグラビオーラが食べたいと言って聞かないので持って帰らないといけないのです。お宅のちょっと見せてもらいたいのですが」どうやらこっちを疑っているらしい。私のコメント「それで庭に入れたの?」「どうしても動かないので仕方ないでしょう。」

その若者、グラビオーラの木の周りを回ってようやく納得した。「本当になってないですね。それでも私が確かに探し回ったという証拠にグラビオーラの葉を頂けないですかお茶にして飲ませますよ。」「それなら枝を持って行けばもっと信用するんじゃない」と妻。
結果はどうなったかは知らない。

横に切ると星形になるCarambola(スターフルーツ)、これも道から見える。
ブザーが鳴ってまたしても若者。「カランボラの木が見えますが実を少し分けてもらいたいんです。実は妻がどうしても食べたいと・・」いつもの口上。この前、終わったばかりで今ないわよ。」「ちょっと見て来てください」仕方なく妻が見に行くとなんと時季外れの実が三つなっている。こういう事は今までなかったのだが妊婦の執念がそうさせたのか私達にも全然わからない。小さいレジ袋に入れて持って行ってやると眼を輝かせてお礼を何度も言って去っていった。
先週収穫したスターフルーツ
さてこれまでスターフルーツやグラビオーラの顔をした人に出会ったことがない。とすると今まで妊婦の願い事は100パーセントかなえられてきたということか。男性の涙ぐましい努力に頭が下がる。