先週妻の友人の誕生日のパーテイに招かれた。パーテイといっても簡単な内輪だけのもので親戚以外は私達だけ。行ってみると夫婦そろって同じ誕生日だということで、そういうカップルに出会ったのは初めての経験? 私達のあとで仕事用のブーツを履いた女の人が入ってきた。服装もなにやら制服らしい、だが見当がつかない。妻は顔見知りらしく挨拶していた。彼女はここの奥さんの妹で市警さん。今日は仕事からまっすぐ来たので服を着替える暇がなかったと言っていたと妻があとで説明してくれた。ブラジルも数年前から市でも自分の警察を持つようになり主に交通整理および違反の取締りをしていたようだったが最近は拳銃の所持も許されているので活動範囲も広くなっているのではないかと思われる。この話はその市警さんが話してくれたものだ。
ヴィトリアに本格的なショッピング・センターができたのは1993年。地下および屋外に2200台を収容できる駐車場がある。駐車場に入れるには2ドル程の料金を払わなければならないので料金をケチって駐車違反区域にとめる人もいる。そこを見回っていた市警さん早速違反車を見つけ手持ちの伝票に書き付けた。赤ら顔の30代の男の人があわただしく駆け寄ってきた。『中で働いている人に用があってほんのちょっとの間ここに置いていたんだ。その駐車違反の罰金を取り消してくれ』「違反は違反ですからもう取り消せません」『何、取り消せないだと、もう殺してやる』。興奮してズボンのポケットからナイフを取り出した。市警さんも面子がある。「殺せるものなら殺してみな』と走り出した。男もナイフをかざして後を追う。この市警さん、足には自信がありいつもマラソン大会に出場している超ベテラン。男も追いつけそうでなかなか追いつかない。市警さんそのうち携帯を取り出して本部に連絡。『今ショッピング・センターの周りで、ナイフを持った男から追いかけられている至急救援たのむ』「了解」。そのうち男が迫ってくる。もうちょっとピッチを上げないと。いつもはすぐ来る救援が今日に限ってなかなか来ない。もうショッピングの周りを2周してしまった。あまりピッチを上げて男にあきらめさせては救援が来たときに『何だお前、うそを言って俺たちをかついだのか』と笑いものにされる。しかしピッチを落としては自分の身が危ない。うしろをみながら男にあきらめさせない程度の距離を保って3周目。やがて仲間たちの車が見えてきた。サイレンも鳴らさずのろのろと来て道の脇に車を止めにやにやしながらこちらを見ている。『普段はてきぱきとやるのに、本当に腹の立つ連中だわ』。彼ら、男が近づくと現行犯として取り押さえ警察の車におしこんだ。「いやあ大変だったな、それじゃあ」と帰りはサイレンを鳴らして疾風のごとく去って行った。それを見た彼女「ちくしょう、私を殺すつもりだったの!」。
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