先週クリチーバに居たときCorações Sujos ( www.coracoessujos.com.br )(汚れた心)という映画を観た。第二次世界大戦直後ブラジルの日系コロニア(社会)で起きた悲しい出来事を取り上げておりコロニアの恥部としてその後はあまり公には語られてこなかったような気がする。日本においてでさえ国民には神国日本の敗北を受け入れるのは難しかったのではないか。当時の大本営発表の「敵の被害は甚大で我が方の被害は軽微」(父からよく聞いていた)のニュースを聞かされていた人達にとっては。しかし敵機の襲来、爆撃、そしてそれを迎え撃つすべが無いことを思い知らされた人達には日本が敗北に向かっていたことは分かっていただろう,
口に出さずとも。しかし情報が閉ざされ、しかも当時は多くが農業に従事していたブラジルに住む日本人にとっては日本は神国であり絶対に不滅であると教えられてきた。そこで日本は戦争に勝ったのだと説く「勝ち組」の狂走(この言葉は自作語で広辞苑には載っていませんでした)に巻き込まれてしまい、ブラジルの社会との接触があり日本は負けたのだと思うようになった「負け組」との間で抗争があった。勝ち組の組織「臣道連盟」による暗殺が横行しこれにはブラジル官憲も関与するところとなった。映画の題名のCorações
Sujosというのは勝ち組の人が負け組の人に「お前は汚れた心を持った国賊だ」というところから来ている。勝ち組の組織「臣道連盟」(この漢字でGoogleで検索するとWikipidiaで上に書いたようなことが書いてあるので私の説明はここらで止めておく)の話は私が来た1960年ごろはまだ当時の事件に詳しい人達もおられたので時々聞いていた。
しかしこの映画に注目すべきはこれはブラジルのジャーナリストFernando Moraisによって書かれた本を基にしてブラジル人のプロデューサーJoão
Daniel, 監督Vicente Amorim によって製作されたということである。配役も日本とブラジルの第一線で活躍し世界的な賞を受けた俳優たちが出演している豪華キャスト。日本では7月に公開されブラジルは8月となった。
日系コロニアでタブーとされてきたこのテーマにあえて取り組んできたことについての監督のコメント「映画で描いたテーマは普遍的なものであり、ブラジルの日系コロニアで起きた話ではあるが世界中で問題になっていることでもある。」
我々も教訓としてこの話を風化させてはならない。映画に携わった人達、ありがとう!
東洋文化センター「トモダチ」を営む娘は関係者から招待券を貰っていたので私もそのおこぼれにあずかった。娘に原作の本のことを聞くと彼女「何言ってるのパパイ、私が読んで良かったのでパパイにも買って送ったじゃない」「えっ、いつのこと?まだ着いてないのかな?」「いつって?もう、何年も前のことよ」「覚えない」。
今本棚をあちこち探している最中である。
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