Bonitoからの帰り道、途中で何か腹ごしらえをしていこうとPadaria (パン屋とはいっても軽食がとれる所)に立ち寄った。先に入ったガイドが何か頼んで奥の方に向かった。注文を受けた女の子に何を頼んだかと聞くと「Sopa
(すーぷ)」だと言う。夜も遅くちょっと冷え込んでいる、私たちもスープならあったまるなと思って「スープ、後三つ追加そしてエスプレッソコーヒーを四つ」と注文してテーブルについた。一時して女の子が大皿に持ってきて皆の席に置いていく。しかしスープはない。小皿に何かケーキみたいなものがのっていてあとはコーヒー。ガイドに聞いてみた。「スープを頼んだけど来てないよ」。ガイドが笑った。「ここではこれがスープなんです。Sopa
Paraguaia (パラグアイ・スープ)と言うのですがね。ここMato Grosso do SULはパラグアイ、ボリビアと国境を接していてパラグアイからの人も大分住んでいるのですよ。
この辺のある家でパラグアイから来た人がお手伝いさんとして働いていたんですよ。そこで夜に熱いスープが飲みたいとご主人が頼んだらお手伝いさん美味しいスープを作ろうと色々入れて最後にトウモロコシの粉を入れようとしたところ手が滑って持っていた袋の中の粉が全部鍋の中に入ってしまいドロドロになってしまったのです。捨てるわけにはいかないのでケーキ用のバットに入れてオーブンで焼いてしまったのです。食卓に座っているご主人の所に持って行き「これがスープです」とケーキ風に切ったのを置くと彼はびっくりして彼女の顔を見上げる。そこで成り行きを説明するとご主人フォークにとって口に入れた。「うん、なかなかいいよ」。それからその家ではスープと言うとこれが出るのが習慣になり、そしてこの辺一帯に広まったというわけです。
「実は私トイレから戻るとき女の子にあなたが何を注文されたのか聞いたんですよ。うーん、あの人達が思っているのとは違うものが出てくるけどまあいいだろうと言ったのですけどね、この辺の名物料理だから試されるのもいいだろうとそのままにしておきました。さあ、いただきましょう」
私は美味しく食べたが妻を満足させるまでにはいかなかったようだ。
所変われば品変わる??