2016年9月22日木曜日

Rio 2016 オリンピックとパラリンピックを終えて

オリンピックとパラリンピックを終えてリオは少し静かになっただろうか。Carioca (カリオカ=リオっ子)達と会場で会話を交わすとこれからが正念場でバブルがはじけて不景気が一気に押し寄せてこなければよいがと心配していた。他の地方ではすでにはじけている。
ブラジルは大統領の弾劾プロセスで副大統領が正式に大統領の座に着いたがいまだに政治、経済は不安定で見通し不可能の状態だ。

今までオリンピックの霧がかかっていて実像が見えなかったがこれから本性が見えてくる。アメリカ大統領選もブラジルに大きな影響をもたらす。アメリカは2017年は景気の回復を予想しているがブラジルとしたらそれにかけて今はいやなことは深く考えたくないだろう。

何を書いているのか? 実はオリンピック、パラインピックで感じたことを少しメモしていたのでそれで閉めくくろうとして書こうとしていたのだがつい愚痴が出て・・・

リオのパラリンピックは私一人で行ってきた。姑がほとんど動けないし食事やもろもろの世話もしなければならないので二人では出かけられなくなった。おまけに近くに住んでいた息子の家族が遠いところに引っ越してしまった。私がリオから帰ると今度は妻が一人で引っ越した息子の様子を見に行って今日帰ってくる。

ブラジルは来月、市長及び市会議員の選挙がある。近くの知り合いの所で議員候補の説明会があるので妻は呼ばれて行ってきたそうだ。そこで私がなぜ来なかったかと聞かれて彼女は「パラリンピックを見に行った」 と答えたところ 「オリンピックも行ったの?」 「いやオリンピックは行ってない」。
知り合いの彼、首をかしげて「どうしてパラリンピック?」

妻、「なんでもあっちに本当の英雄がいるのだとか言って見に行ったわ」 
それを横で聞いていた日系人の奥さんを持つ私たちが親しくしている友人
「そうだ。そうだ。」 と相づちを打ったそうだ。彼の長男はここエスピリトサント州の公立大学の機械科を優秀な成績で卒業したが入社時の健康診断で白血球の値に異常がありそれで引っかかって入れなかった。それからは色んな病気を引き起こし親はもう助からないとまで思ったことがあったと言っていた。、今ようやく落ち着いて少しは一人で歩けるようになっている。
彼は自分の息子とパラリンピックの選手たちとを重ねてみたに違いない。

「あなたがNHKで選手たちの紹介を見て病気や事故で障がい者になった人や生まれつきの障がい者の人たちが絶望のそこからその障害を乗り越えスポーツに新しい希望、生きがいを見出して人並み以上の努力の末このパラリンピックの代表を勝ち取ったのだと言ったでしょう。私にはそういう人は英雄よ。だからみんなにそう言ったの。みんな納得してたわ。

「へえー、大したもんだね、僕にだってとっさにそんな言葉はでないよ。確かにそうだね。僕たちもがんばらないといけないかなー」 「何言ってんのよ、足が痛い、腰が痛いとこぼしている人が。おとなしくしていなさい。」
オリンピック観戦最初の日、息子と行ったが、もちろん彼は私より歩くのが速い。私も一緒についていくが親指の付け根が痛い。ようく見ると少し(大股では出来なくて)中股で歩くと指の付け根を曲げなければならない。今までは小股でゆっくり歩いていたので負荷がかかっていなかったのだ。これは足なのか?、脊髄からきているのか? 運動で治るのか?課題がもう一つできた。

表彰台に上がってメダルをもらう選手たち、特に女子選手達ののうれしそうな表情、しぐさ、ついこちらまで、ほほえんでしまう。気が付くとレース中は一番遅い人に拍手や声援が多い。観客の励ましがきっと届いているに違いない。

ブラジルは60歳以上が老人で地下鉄や電車、バスなどに専用シートがあるがすでに若い人がいてスマホなんかやっていると誰も言う元気(?)はない。気が付いて譲ってくれる人もいる。しかしその席を空いたままにはなかなかしてくれてない。それでもその優先席に関係なく譲ってくれる人もいる。ブラジルもやがて老人社会になるだろう、その時は老人の規定を変えないといけないかも。もうすでにそれは役立っていないこともある。スーパーなどでも老人、妊婦、障がい者、2歳までの赤ちゃんを連れている人用の優先レジがあるがその列が時々一番長いので他の列の短いところに入る。
地下鉄をおりてオリンピック・パークまでのバスの道のりは長く、すし詰めですごいカーブもある。最初の日は立ちっぱなしで疲れた。2日目は年配のご婦人が譲ってくれた。それを断るほどの元気はない。お礼を言って座った。それで前の日より疲れが少なかった。ブラジルも昔(?)はよく譲ってくれた。

パラリンピックの柔道の試合を見て気に入った。なぜかというとお互いに初めから柔道着の襟と腕をとって組んでから試合開始となる。見ていて気持ちがいい。
見ていて気持ちが悪くなるのがオリンピックの柔道。特に日本人相手だと組ませまい、組ませまいと逃げ回る。つかめれないうちにうっかりすると闘う意志に欠けるとかで注意がはいる。そのまま勝負が決まらないと注意された方が負けとなる。
柔道はお互いに技を競うスポーツではないのか。パラリンピックの柔道のように見ていて気持ちの良い柔道にならないのか。

視覚障害のある人の5人サッカーはブラジル4連覇。ボールをゴール近くまでもっていって蹴るがよく入るもんだ。ちなみにゴールキーパーは健常者だが防げない。これは4大会前から始まったのでまだブラジル以外ではどこも金メダルをとっていない。

今回のメダル獲得数中国が断然トップだが、2位イギリス、3位ウクラニア、4位アメリカ。何ウクラニアがアメリカを抜いてメダル獲得数117!(43-37-39)。よく青と黄色のユニフォームが表彰台に上がっていたがあれがウクラニアだったのか。3人一緒に上がっているのも見た。
5位オーストラリア、6位ドイツ、7位オランダ、そして8位ブラジル 72(14-29-29)。

リオパラリンピックに200万枚のチケットが売れたと言っていた。これは前回のロンドン大会に次ぐ売り上げらしい。オリンピック・パークだけで一日最高16万7千人の人出があったとか。私もその中の一人になっているのだろうか。

まだわけのわからない数字がチケットの裏に書き付けてあるが今となっては何のことかさっぱりわからない。

限られた種目と短い時間だったが自分としては少しはパラリンピックの面白さが分かってきた。
構えなくて自分の目線で見れる、そして何か自然に感動を分かち合える。
また見たいものだが次は東京か。 東京での成功を祈っています。
 

2016年9月20日火曜日

陸上と車いすテニス

陸上競技場の前にはこんなパラリンピックのシンボルマークがあった。

 陸上競技があるオリンピック・スタジアムは地下鉄Botafogo駅から昨日までとは反対の方向に行く。そして通勤電車が乗り入れているCentral駅まで行きそこからは電車に乗り換える。

いかにも込み入った通勤地帯(こういう言葉があるかどうか知らないが)という雰囲気だ。やがてオリンピック・スタジアムが見えてきてEngenho de Dentro 駅で降りる。あー、それでここのスタジアムをみんながEngenhão(エンジェニョン)と呼ぶのか。ここはリオ市の所有する多目的スポーツセンターで4万5千人ほど収容でき普段はリオの名門サッカーチームBotafogo の本拠地として使われているので有名だ。

駅のすぐ正面にスタジアムの入り口と思われるところがあるので行こうとすると「あっ、そこは入場券売り場ですから、チケットをすでにお持ちの方は西口か東口から入って下さい」ということだった。チケットを買ったときに東口だと確認していたのでそちらの方に行くがスタジアムを回っているわけでもなく街並みを歩いている。機関銃を肩に懸けた軍人らしい警備係が二人づつ距離を置いてみはっている。そういえば今回なんの事件も起こらなかった。

東口からスタジアムに入り、割り当てられたブロックに行くがちょっと場所が気に入らない、観客側ではトラック競技があるが、フィールドでは砲丸投げや、やり投げがあっている。
あっ、走り幅跳びがあっちだから着地点の方に移動しよう。

自分の足で走れない人達はフォーミュラーワンみたいな車輪の付いた車にのり手で車輪を回していく。腕力をすごく鍛えなければならないだろうなと思った。視覚障害のある人は伴走者がつく。伴走者も相当のアスリートでないとついていけない。

目の前では走り幅跳び女子の決勝で中国の選手が金メダルをとった。観客もどこの国であろうとも一生懸命プレーしている人たちに歓声を上げて応援する。民族とかここにはないただ一人の人間の努力、才能をたたえる。

https://youtu.be/jvwQzgM2AQ4

今まで知らなかったが中国はいつこんなパラリンピック大国になったのだろう。239のメダル獲得で107の金メダル。
競技の途中に色々な種目の表彰式がある。国家が演奏されるときはスタジアム観客みんなが起立して旗が上がっていくのを見つめる。中国の国歌を何回か聞いた。ここオリンピック・スタジアムで行われる種目に金メダルを取ることは何万人という観客の祝福を受けるということなんだと気が付いた。

午後1時ごろオリンピック・スタジアムを出て朝来た道筋を逆方向に向かい今度はオリンピック・パークへと向かった。テニスのセンターコートは入口に一番近いところにあるから助かる。歩くのも結構疲れる。

センターコートに入って掲示板を見るとなんと昨日国枝選手を破ったGerard Joachin 選手とイギリスのHewett Alfie選手との試合が進行中でHewett 選手が7対5で第一セットを取って第2セットもリード中。昨日よりは暑くないがやはり日陰の方がいい。私のチケットのブロックは騒がしい。どうやらHewett選手の応援団らしい。昨日の席が気に入ったのでそちらに移った。
Hewett選手が点を入れるたびに応援団が騒ぐ。知らない所に来て試合をしてこんなに応援してもらえば自分の国にいるような気がしてずいぶん勇気づけられるだろうなと思った。そしてよく問題になるイギリスサッカーのプレミアリーグの熱狂的サポーター達で時々暴走するフーリガンを思い出した。しかし誰でもこうやって応援してもらったら元気がでるよな。

応援の後押しもあってか第2セットも6対3で勝った。試合時間1時間30分。
終わった後、彼は応援団の所に行ってお礼を言いテニスボールをラケットで投げ入れたが強かったのか上段の観客に渡ってしまった。
次は女の子が集まっているところに投げ込んだがそれも飛びすぎて掃除をしている人が取って喜んでいた。余興だから集中力が足りないか。

次は誰の試合だろうと待っていたら、なんとまたKamiji Yui と出、相手はNed de Groot オランダだ。
3位決定戦だという。ということは昨日は準決勝戦だったのか。しかし昨日の暑いさなかでの3時間にわたる試合で体のコンディションは大丈夫なのかなと心配になってきた。
今日は昨日よりは陽も弱いし陰もコートに届いている。昨日は暑さで心配したが今日は体力が心配、またもや、スポーツ選手というのは体力との勝負でもあるなと悟らされた。

そうだ試合が始まる前に何か食べよう。廊下にでて少し行くと売店がある。オリンピック競技場には食べ物、飲み物は持ち込み禁止で入口でチェックされる。ということですべてアレーナ内で買い求める。
昨日と一昨日はオレンジジュースとハンバーグだったので今日もそれにするかと思っていたら、何かお客さんが店員と話している。「大分集めましたね。ゴールボールは持っていますか」と聞いている。若い娘さんが黄色いプラスチックの大きなコップを手にしている。そういえば行きかう人が何人も持っていたなー。記念に買ってもいいな。
「これ売ってるの?」
「いえ、これはビールをお買い上げのお客様にこのコップについで差し上げています」。そうと分かっていれば昨日も一昨日もビールにしたのに。私は選手が一生懸命やっているのにこちらがビールなんか飲むわけにはいかないと思って遠慮していたのに。そうとわかればあと二つたまっていたのになー。

車いすテニスのデザインが入ったコップにビールを注いでもらった。「食べ物は?」
ビールの量とあう食べ物となると?? そうだ廊下に出たすぐ横で大袋のポップコーンを売っていたな、あれにしよう.そこは正直に 「いや、いいよ、向こうのポップコーンを買うから」

両手に抱えて廊下から会場に入るドアに来たとき、係員が「今試合の最中で選手の気を散らせたらいけないので一段落したらドアを開けますからちょっとお待ちください」 といって入れてくれない。もう試合が始まって長いラリーが続いているのか時々ドアを少し開けてのぞいてはなかなか入れてくれない。私の前に一人いたのはそういうことだったのか、私の後からも二人来て、ようやくドアが開いた。

ビールを飲んでポップコーンを食べての観戦となった。 
今日は上地選手落ち着いてプレーしている。ラリーもなく試合の進みも早い。点を取るべきところで取って第一セットを6対3、第2セットも6対3.試合時間1時間19分。

https://youtu.be/Mht-0j5pCOo

勝った瞬間の上地選手の喜ぶ姿。応援してくれた人たちにもあいさつ。そして日本の国旗を文字通り背にからって一時感激にふけっていたようだった。その後は国旗を両手で揚げ笑顔を観客に見せた。
上地選手、銅メダルおめでとう !!!!!!!!




2016年9月19日月曜日

競泳と車いすテニス

車いすテニスの観客はみんな日陰に陣取った

2日目、競泳は9時半開始なので昨日より30分遅く朝食をとった。競泳も午後見る車いすテニスも昨日と同じオリンピック・パーク内、勝手知った所なので安心だ。
地下鉄に乗ると同じ車両にオリンピックのロゴマークがついたシャツを着ている人たちが10人以上乗っている。ボランティアの人たちはロゴマークの入ったバッグもからっているのですぐわかる。なんでもリオ・オリンピックには多くの人がボランティアに申し込んだそうだ。彼らの協力があってこそ競技はスムースに執り行われる。

今日も天気は良い。競泳はOlympic Aquatics Stadiumで行われる。昨日のゴールボールの会場に近いオリンピック・パークの奥の方だ。
チケットを買った時、ここだけはシートが指定されていた。他の5つのチケットはブロックの指定だけでその中で勝手にどこでも座っていいということだった。プールの周りはすでに多くの人が入っていた。私の席は空いていたので、すぐ座れたが私の前の席に座っていた家族はあとから来た人が「ここは私の席だ」とチケットを見せると後ろの方に移っていった。他の競技場では一杯になっていなかったのでここでも空席が出るだろうと運に懸けたのだろうか。ブラジルではよくあることだ。みんな慣れているので当たり前の風景。日本では他人の席に座ることはないのでは。外国では遠慮なく自分の権利は主張すべき。

プログラムを見ると今日の午前中は予選だけだ。パラリンピックは障害の違いで競技数が別けられているのでオリンピックよりメダル数が多い。
400m、200m、100m、50m と次々にレースが進む。100m平泳ぎSB11第2組では日本の木村選手が1位となり総合2位で決勝進出となった。夜の部の決勝では銅メダルを取った。彼は5種目に出、銀メダル2個、銅メダル2個の成績をあげた。

https://youtu.be/VueSHohLuO8

この日の午前の部では見なかったがブラジルにはパラリンピック水泳で世界に誇るDaniel Dias というスーパースイマーがいる。今回は9個のメダル(金4-銀3-銅2)を獲得、そして北京、ロンドンで獲得した15個のメダルを足すと24個になり男子パラリンピックスイマーの最多メダル獲得の記録を打ち立てた。彼は今28歳東京ではこの記録を更新するだろう。これも一つの見どころかも。

彼の前にはClodoaldo Silva というやはりパラリンピックの度に名前を聞いていた競泳の選手がいた。彼は今37歳、実はロンドン大会で引退するはずだったが娘は当時生まれたばかりで今4歳、自分の泳ぐ姿を娘の記憶に留めておきたいと今回の出場を決めた。
彼は2004年のアテネ大会に出場、6個の金と1個の銀を獲得。それをテレビで観ていたDaniel Dias が自分も水泳をやりたくなったと語っていた。ブラジルのパラリンピックに大きな影響を与えた人だといえよう。彼は今回も4x50mで銀メダル、トータルメダル数は14個となった、

12時頃競泳スタジアムを出てオリンピックパークの入り口近くにあるテニスのセンターコートに向かった。行く途中周りの写真を撮ったりでゆっくり歩いてセンターコートに入った。途中、ブラジル北東部の伝統舞踊のMaracatuを踊っていた。アフリカのリズムでよく響き周りに人が集まった。
以前南米一周旅行をしていてアフリカで医療ボランティアの経験があるイタリア女性が「ブラジルにはアフリカで消えてしまったものが残っている」とコメントしていたことを思い出した。移民国ブラジルではアフリカ系だけでなく西洋系、東洋系、アラブ系を問わず昔の伝統の文化、食べ物などがどこかに残っている。
これも昔のことだが当時辛辣な評論家として知られていた大宅壮一氏がブラジル旅行の後「明治の日本を見たかったらブラジルに行け」と暴言を吐いたとブラジルの日系コロニアは怒ったが今考えると暴言と思える中に案外懐かしい郷愁の思いがあったのかもしれない。

https://youtu.be/srNPBHQWk4w

入ってみてびっくりした。なんと日本の国枝選手の試合だった。相手はベルギーのGerard Joachin..
国枝選手のことはNHKのパラリンピック特集の中でも特に印象に残っている。北京、ロンドンとシングルス2連覇中。日本にこんなすごい人がいるなんて知らなかった。しかしここまでゆっくり来たせいで試合は第一セットは終わっていた。しかも国枝選手は3対6で第一セットを取られている。第2セットが始まっているがこれも押され気味だ。

このチケットを買う時ちょっと考えた。テニスは別のコートでも試合がある。しかし国枝選手は勝ち上がって来るだろうからこの頃だとおそらくセンターコートで試合があるのではないかと考えチケットを買った。これが偶然にも当たった?

今日はバカに暑い。私に割り当てられたブロックに行って座ると。近くにほとんど人がいない。熱い陽が照りつけ座っていられない。陰になっているところにみんな集まっている。どうもおかしいと思った。ここはブロック割り当てでシート割り当てではないから日の当たるブロックの人たちは皆向こうに行ったなと察した。こんな日差しではたまらない、私も移動しよう。ブロック指定だから誰も私が座る席に文句はつけないだろう。しかし見渡すと陰になっているブロックは人でいっぱいだ。その手前の陽の当たるブロックの最上段に人が座っていて一つ席が空いてる。最上段は後ろが通路で少し高く仕切ってあるので陰になっている。よしあそこに行こう。座るとまだ膝に少し陽が当たるがじきに陰の中になるだろう。自分の場所が決まったので試合観戦だ。

コートにはまだ陰なんかない、暑い日差しの中、両選手が打ち合いをやっている。国枝選手もちょっとでも暇ができるとコートの端のタオルを持っている人の所へ行き汗をぬぐっている。これはテニスの試合と同時に体力との戦いでもあるなと思った。
車いすを押しながらボールを追いかけるのは確かに頭脳と体力がいる。この暑さではどちらとも消耗が早い。
国枝選手を応援するも、2セット目も6対3になり負けてしまった。
純試合時間1時間35分、暑い中大変でした。

https://youtu.be/zVRrWLpqPE4

次は誰の試合かなと掲示板を見ていたら KAMIJI Yui と出てきた。スマホのインターネットで調べてみた。上地結衣、22歳、車いすテニス女子ランキング現在2位、その前は1位だったと。
これはNHKで見過ごしていたな。全然知らなかった。相手はオランダのVan Koot Aniek.

このころになると私の座っているところもすっかり影になり前の席にも人が集まってきた。しかしコートまでは陰は届いていない。まだまだ陽が熱い。上地選手もよくタオルで汗をふいている。
この試合、予想もしない展開となった。実力伯仲の間での試合はこうなるのか知らないが数字の上だけでは表されない熱戦となった。二人の試合に対する執念というのか、暑い中すさまじいラリーの連続。第1セットは3対6で負けたが第2セットは6対4で勝ち、勝負は第3セットに持ち越された。 このころになるとコートも陰になる。またもや長いラリーが続いて5対5、どちらにも勝つチャンスはある。上地選手粘りに粘ったが5対6、そして5対7となり惜しくも負けてしまった。戦っているだけで2時間46分。すると試合時間トータルは3時間以上だ。

https://youtu.be/bhjyzIVc9DE


2016年9月18日日曜日

ゴールボール と 車いすバスケットボール

車いすバスケットボールがあった Arena Carioca 1 この後ろに2と3がある。

パラリンピックのシンボルマーク 後ろの灰色の建物は競泳スタジアム

11日は遅い飛行機だったのでリオに住む息子の所に着いた時は夜の10時を過ぎていた。明日は息子が一緒に行ってくれるという。

「ゴールボールは朝9時だから6時ごろ起きた方がいいよ」
「地下鉄で会場の近くまで行けるのではないのか?」
「地下鉄はここから乗ってイパネマで乗り換え、それからオリンピックのチケットを持っている人だけが乗れる新しい地下鉄でBarra (地名でバーハと発音)まで行きそれからは3両編成のバスでオリンピック・パークまで行くのよ。あれやこれやで時間がかかるから2時間前には家を出た方がいい」と嫁が言う。
私はてっきり会場のそばまで地下鉄で行けるものと勘違いしていた。またもや交通の便で失望か。

翌朝6時に起き軽い朝食をとって出かける。地下鉄でBarraまで行きそこでバスに乗るのだが3両あるのに一番先の一両にしか乗せないのでそこは一杯、多くの人が後のバスを待っている。見ると詰めればあと二人くらい入れそうなので私と息子は飛び乗った。

オリンピック会場行のバスは直行で専用車線だがすでに他の車線は通勤用などに使われていて距離を置いてバス停がいくつかある。このシステムはBRT(Bus Rapid Transit)と呼ばれているが娘の住むクリチーバでは早くから使われている。オリンピックの後は市民の足となって大いに利用されるだろう。

さてこのバスほとんどノンストップだが所々急カーブを切るので吊革を握っていないと身体が傾く、それだけでも結構いい運動になる。さてオリンピック・パークの近くに来たがそこから会場の入り口まではかなり歩かされる。私は右足の親指がまた痛み出したのでゆっくり歩くしかない。建築用のやぐらを組んで長いスロープになっている。オリンピック後は取り外すのだろうが世界のお客さんにこんなところを歩かせたのか、情けない。
チケットチェックと持ち物チェックの後、いよいよ会場に。多くのアレーナが建ち並ぶ。Goalballは後ろの方のARENA DO FUTURO (未来アレーナ)である。ここはオリンピック後は取り壊されるらしい。多くの人がぞろぞろと各アレーナに向かっている。

入ってすぐ男子スエーデンとドイツの試合が始まった。スエーデンが9対5で勝った。
次は女子戦でブラジル対イスラエル。ブラジルの女子選手に観客の大きな声援があがる。
7対2で勝ち準々決勝進出。声援と言っても試合中はかすかなボールの中の鈴の音が頼りなので{静かに!」と注意のアナウンスがある。これはパラリンピックだけにある競技なので興味があった。
ブラジルの女子はほかの国の選手とはボールの投げ方が違った。男子でも女子でも他のチームはボールを片手に持って勢いをつけて相手のゴールをめがけて投げるのだがブラジル女子は両手でボールをつかみ後ろ向きで股の間からそのまま弾みをつけ両手で投げる。果たしてどちらが有利なのか、ブラジル女子はどうしてそちらを選択したのか後で調べてみよう。
守る方はゴールの前に3人横たわって相手のボールを防ぐ。試合時間は前半後半それぞれ12分。

https://youtu.be/pKemqoCaOKQ


まだ試合は続くが日本の車いすバスケットボールが隣のARENA CARIOCA 1であるのでそちらに移ることにした。
女子のオランダ対中国の試合中であった。中国は惜しいところでなかなか点が入らずオランダから29対62で負けた。
さて次は男子、日本対オーストラリア。両チームの選手たちが車いすで勇ましく入ってきてお互いに挨拶。車いすさばきがうまい。ボールもよく入っている、NHKで見た選手もいる。
試合前に両国の国歌演奏。私も立ち上がって久し振りに「君が代」を聞く。

さて試合が始まった。動きが早い!車いすどうしのぶつかり合い、相手の前に素早く自分のを押し付け相手を行かせないようにしたり、マンツーマン、いや wheel to wheel の戦いがあちこちで起こっている。さすがにこの臨場感はテレビでは味わえない。

4セットで各セット10分。その間に観客を退屈させないように余興が組んである。日本勢は応援団までいて盛んに拍子をとって日本チームに声援を送っている。ブラジルの観客も日本びいきだ。

余興を盛り上げるアナウンサーがそれぞれの国から観戦に来ている人を4,5人づつ集めサンバの踊りの対抗試合をさせる。初めビデオで外国人にサンバを教えるという映像を通し少し練習させそのあとそれぞれの国の代表にサンバを躍らせて勝敗を決める。しかしみんな真面目じゃないから勝手に自分流に飛んだり跳ねたりして観客の爆笑を誘う。笑いすぎてどちらに軍配が上がったのかもさっぱりわからなかった。

前半はなかなかシュートが決まらず点が取れなかった日本、ようやく最終セットでそれまでの19点差を25対19で13点差に縮めたが時遅く68対55で負けた。オーストラリアチームの中に背の高い選手がいる。彼がシュートに近いところでボールを受け取ると日本選手はどんなに手を挙げてシュートを邪魔しようとしても手が届かず彼に大分点を入れられた。後半はその選手をマークしてボールが渡らないような作戦に日本が変えたような気がした。

https://youtu.be/9d2CPkc8nFQ

NHKで日本の選手のそれぞれのエピソードなど見ていたので思い出し非常に親しみがわいてきて試合にのめりこんでしまった。がんばってください。

そのあとアメリカ対イギリスの車いすバスケットを見た。3セットまでほぼ互角の戦いで点差5でアメリカやや優勢だったが最終セットで23対11の12点差をつけられイギリスは48対65で負けた。
さすがアメリカと思って調べてみたらアテネ大会以来アメリカは決勝戦にも出ておらず金メダルはカナダ3回オーストラリア2回となっている。さて、今年は?

試合が終わって外に出ると日が落ちようとしている。バスターミナルまでの長い道のりを歩く。今度は緩いスロープを登っていくが向こうからはどんどんと人が下りてくる。オリンピックの夜の部観戦で家族連れや仕事が終わってから来る人やらでいっぱいだ。
さあ、私はまた明日もあるぞー!

下の youtube はオリンピック・パークをとったもの

https://youtu.be/FDPgPaRgCIk









2016年9月17日土曜日

リオ2016 パラリンピック観戦記

8月21日にオリンピックが終わった後、9月7日のパラリンピックの開会式までの17日間ブラジルのミディアはほとんどパラリンピックのことを流さない。その間はNHKでパラリンピックの競技の説明や選手紹介などがあっていたのでそこから知識を得た。車いすテニスでは横には動けないので車いすをまわして移動する、しかしその間に相手は自分が背中を向けている間にボールを返すのでだいたいどのあたりにボールが来るのか予測して車いすを回すと言っていた。えっ!それは大変だ!

車いすバスケットは試合の様子を見せていたが車いすと車いすがぶつかり合いひっくり返ったりしている。車いすラグビーを見ていると、もっとひどい。えっ!タックルは車の倒しあい!危ない競技だなー。

今までパラリンピックの試合を見たことがなかったのでいろいろ新鮮な情報が脳をくすぐる。陸上ではあの足に付けるバネみたいなものは足があった時より速く走れるがそれに耐える体力を作らなければならない。走り幅跳びはその代表的なものでパラリンピックがオリンピックを超すかもと。
技術の進歩にたずさわる人たち、そしてそれらが障がい者の人たちに新しい希望を持たらしている現状。よし、パラリンピックを見に行くぞー!! と決意が固まった。

9月7日はブラジルの独立記念日で休日。開会式が始まると参加する選手たちの笑顔がいっぱい。そして私はノートブックを開いてチケットを買いだした。リオには長男夫婦が住んでいて地下鉄にも近い。11日の日曜日にリオに行き、12日月曜日午前中はパラリンピックならではの競技、ゴールボール、昼からは車いすバスケット。13日の午前中は競泳、午後は車いすテニス。14日は午前中は陸上、午後は車いすテニスを見るようにした。チケットはインターネットですぐに買えた。