車いすテニスの観客はみんな日陰に陣取った
2日目、競泳は9時半開始なので昨日より30分遅く朝食をとった。競泳も午後見る車いすテニスも昨日と同じオリンピック・パーク内、勝手知った所なので安心だ。
地下鉄に乗ると同じ車両にオリンピックのロゴマークがついたシャツを着ている人たちが10人以上乗っている。ボランティアの人たちはロゴマークの入ったバッグもからっているのですぐわかる。なんでもリオ・オリンピックには多くの人がボランティアに申し込んだそうだ。彼らの協力があってこそ競技はスムースに執り行われる。
今日も天気は良い。競泳はOlympic Aquatics Stadiumで行われる。昨日のゴールボールの会場に近いオリンピック・パークの奥の方だ。
チケットを買った時、ここだけはシートが指定されていた。他の5つのチケットはブロックの指定だけでその中で勝手にどこでも座っていいということだった。プールの周りはすでに多くの人が入っていた。私の席は空いていたので、すぐ座れたが私の前の席に座っていた家族はあとから来た人が「ここは私の席だ」とチケットを見せると後ろの方に移っていった。他の競技場では一杯になっていなかったのでここでも空席が出るだろうと運に懸けたのだろうか。ブラジルではよくあることだ。みんな慣れているので当たり前の風景。日本では他人の席に座ることはないのでは。外国では遠慮なく自分の権利は主張すべき。
プログラムを見ると今日の午前中は予選だけだ。パラリンピックは障害の違いで競技数が別けられているのでオリンピックよりメダル数が多い。
400m、200m、100m、50m と次々にレースが進む。100m平泳ぎSB11第2組では日本の木村選手が1位となり総合2位で決勝進出となった。夜の部の決勝では銅メダルを取った。彼は5種目に出、銀メダル2個、銅メダル2個の成績をあげた。
https://youtu.be/VueSHohLuO8
この日の午前の部では見なかったがブラジルにはパラリンピック水泳で世界に誇るDaniel Dias というスーパースイマーがいる。今回は9個のメダル(金4-銀3-銅2)を獲得、そして北京、ロンドンで獲得した15個のメダルを足すと24個になり男子パラリンピックスイマーの最多メダル獲得の記録を打ち立てた。彼は今28歳東京ではこの記録を更新するだろう。これも一つの見どころかも。
彼の前にはClodoaldo Silva というやはりパラリンピックの度に名前を聞いていた競泳の選手がいた。彼は今37歳、実はロンドン大会で引退するはずだったが娘は当時生まれたばかりで今4歳、自分の泳ぐ姿を娘の記憶に留めておきたいと今回の出場を決めた。
彼は2004年のアテネ大会に出場、6個の金と1個の銀を獲得。それをテレビで観ていたDaniel Dias が自分も水泳をやりたくなったと語っていた。ブラジルのパラリンピックに大きな影響を与えた人だといえよう。彼は今回も4x50mで銀メダル、トータルメダル数は14個となった、
12時頃競泳スタジアムを出てオリンピックパークの入り口近くにあるテニスのセンターコートに向かった。行く途中周りの写真を撮ったりでゆっくり歩いてセンターコートに入った。途中、ブラジル北東部の伝統舞踊のMaracatuを踊っていた。アフリカのリズムでよく響き周りに人が集まった。
以前南米一周旅行をしていてアフリカで医療ボランティアの経験があるイタリア女性が「ブラジルにはアフリカで消えてしまったものが残っている」とコメントしていたことを思い出した。移民国ブラジルではアフリカ系だけでなく西洋系、東洋系、アラブ系を問わず昔の伝統の文化、食べ物などがどこかに残っている。
これも昔のことだが当時辛辣な評論家として知られていた大宅壮一氏がブラジル旅行の後「明治の日本を見たかったらブラジルに行け」と暴言を吐いたとブラジルの日系コロニアは怒ったが今考えると暴言と思える中に案外懐かしい郷愁の思いがあったのかもしれない。
https://youtu.be/srNPBHQWk4w
入ってみてびっくりした。なんと日本の国枝選手の試合だった。相手はベルギーのGerard Joachin..
国枝選手のことはNHKのパラリンピック特集の中でも特に印象に残っている。北京、ロンドンとシングルス2連覇中。日本にこんなすごい人がいるなんて知らなかった。しかしここまでゆっくり来たせいで試合は第一セットは終わっていた。しかも国枝選手は3対6で第一セットを取られている。第2セットが始まっているがこれも押され気味だ。
このチケットを買う時ちょっと考えた。テニスは別のコートでも試合がある。しかし国枝選手は勝ち上がって来るだろうからこの頃だとおそらくセンターコートで試合があるのではないかと考えチケットを買った。これが偶然にも当たった?
今日はバカに暑い。私に割り当てられたブロックに行って座ると。近くにほとんど人がいない。熱い陽が照りつけ座っていられない。陰になっているところにみんな集まっている。どうもおかしいと思った。ここはブロック割り当てでシート割り当てではないから日の当たるブロックの人たちは皆向こうに行ったなと察した。こんな日差しではたまらない、私も移動しよう。ブロック指定だから誰も私が座る席に文句はつけないだろう。しかし見渡すと陰になっているブロックは人でいっぱいだ。その手前の陽の当たるブロックの最上段に人が座っていて一つ席が空いてる。最上段は後ろが通路で少し高く仕切ってあるので陰になっている。よしあそこに行こう。座るとまだ膝に少し陽が当たるがじきに陰の中になるだろう。自分の場所が決まったので試合観戦だ。
コートにはまだ陰なんかない、暑い日差しの中、両選手が打ち合いをやっている。国枝選手もちょっとでも暇ができるとコートの端のタオルを持っている人の所へ行き汗をぬぐっている。これはテニスの試合と同時に体力との戦いでもあるなと思った。
車いすを押しながらボールを追いかけるのは確かに頭脳と体力がいる。この暑さではどちらとも消耗が早い。
国枝選手を応援するも、2セット目も6対3になり負けてしまった。
純試合時間1時間35分、暑い中大変でした。
https://youtu.be/zVRrWLpqPE4
次は誰の試合かなと掲示板を見ていたら KAMIJI Yui と出てきた。スマホのインターネットで調べてみた。上地結衣、22歳、車いすテニス女子ランキング現在2位、その前は1位だったと。
これはNHKで見過ごしていたな。全然知らなかった。相手はオランダのVan Koot Aniek.
このころになると私の座っているところもすっかり影になり前の席にも人が集まってきた。しかしコートまでは陰は届いていない。まだまだ陽が熱い。上地選手もよくタオルで汗をふいている。
この試合、予想もしない展開となった。実力伯仲の間での試合はこうなるのか知らないが数字の上だけでは表されない熱戦となった。二人の試合に対する執念というのか、暑い中すさまじいラリーの連続。第1セットは3対6で負けたが第2セットは6対4で勝ち、勝負は第3セットに持ち越された。 このころになるとコートも陰になる。またもや長いラリーが続いて5対5、どちらにも勝つチャンスはある。上地選手粘りに粘ったが5対6、そして5対7となり惜しくも負けてしまった。戦っているだけで2時間46分。すると試合時間トータルは3時間以上だ。
https://youtu.be/bhjyzIVc9DE
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