ロンドンから帰ってきてクリチーバに住む娘のところへ電話した。「ロンドンは良かった?」「ああ、良かったよ」「しかしあのブログに書いていた地図と磁気コンパスって何かのジョーク?今はケータイとGPSの時代でしょう。新しいテクノロジーにすぐ飛びつくパパが?」「いや、あれ本当だよ。助かったよ。」「パパが?」娘はまだ疑っているようす。「あっ、それからロンドンの三越でお前に日本語の本を買ってきたよ。」「えっ、ロンドンで?」また疑っている。
実際にGPS機能が付いているケータイ(携帯)は持っているがまだ使ったことがない。考えてみるとここ2,3年車で遠出をしたことがない。自分の家から半径60km以内の所をうろうろしている。わからない所は行く前に確認すれば迷わずに着く。近所の知合いの家の息子、サンパウロで結婚し親の近くに引越してきた。息子の母親,身体の調子が悪く医者通い。家のものは忙しくて手が離せない。つい嫁さんに頼む。彼女軽く引き受けて「大丈夫、GPSがあるからまかせておいて」といって医者や病院へ迷わずに連れて行く。そこの娘たちより道は良く知っているようになった。便利なものをうまく使いこなすものだと感心していた。年を重ねると新しいものに順応する能力が徐々に減ってくる。ますます小さくなって多機能搭載、手先がいうことをきかない。そこで大きな地図と磁気コンパスとなるわけだ。しかし森で道に迷うとか通信パニックが起きたりすれば我々のほうが有利だなと自分を納得させている今日この頃である。
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