ブラジルではよく街角に屋台がでています。うちの近くにもおいしいバーベキューの串刺しを出している屋台があります。夕暮れ、用事で遅くなったときそこを通りかかると牛肉4本、鶏肉3本、鶏の心臓2本、ひき肉の腸詰2本など持ち帰り夕食とします。旦那は焼き方専門、奥さんはお客さんの応対と夫婦で仲良くやっています。この話はそこの奥さんが妻に語った話です。
十数年前のある日、左官の見習いをしていた旦那がトボトボと家に帰り着き奥さんに言いました。「今日足をくじいて仕事が出来なくなって首になったよ」と奥さんに僅かな金を渡しました。数えてみると明日の米と豆、それとおかずを買う金しかない。これを全部使ったらそのあと食べていけない。まだ小さい子供が二人いる。奥さんじっと考えこんだかと思うと近くのスーパーに駆け込みました。有り金はたいて肉、炭一袋、串一束それにビールを数缶買いました。早速家に帰り肉を切り串に刺し18リットルの油の古缶を拾ってきてそれに炭をおこしました。「あなた何ぐずぐずしているの早くこれを通りの角まで持って行って私は肉を持っていくから」。丁度仕事帰りの男たちが匂いに惹かれて立ち止まりました。「おや、おいしそうな肉だな」「私が一番いい肉をよってきたんだよ、それにけちっちゃないよ、ほらこの通り串に隙間なく刺してあるのでお客さんにひもじい思いはさせないって」「おいみんな、それじゃここで晩飯とするか」慣れない手付きで忙しく応対しているうちに気が付いたら全部売り切れていました。家に帰って売り上げを数えてみると明日の家族の食料と肉や炭が今日より買える金が残っていました。翌日早速スーパーに行きその日の食料、それから肉、炭、串そしてビールを1ダース買って帰りました。その日も全部売り切れ。
おいしくて他より肉が多いと評判になり今でも仕事帰りの人たちが結構座っています。旦那にも左官の仕事はやめてもらい手伝ってもらうようにしました。ようやくのことで家賃を払っていたのがいまはそこの家を買い取り建て増しして借家を2軒つくりいまや家主さんです。建て増しには旦那の以前の左官の腕が役に立ちほとんど自分一人で仕上げました。先月から自宅を改良して街角はやめてそこでお客さんに出せるようにしましたが売り上げは競争も激しくなってちょっと減ってきたといっていました。「なあに、そうなれば弁当でも朝のコーヒーでもなんでもだすよ。私は怠けることがだいっ嫌いなのでね」
肝っ玉母さんがんばれ!!
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