この話も妻のボケの副産物。
小学校の新しい学期が始まり昼食はそれぞれ自分で持ってくるようにと先生から言い渡された。
私は家に帰っておばあちゃんにそのことを告げた。
翌朝おばあちゃんは朝早く起き、ご飯を炊きながら 「なんといっても日本人はおにぎりだね」と言って、おにぎりを二つ弁当箱に詰めてくれた。
さて午前中の授業が終わるとみんなそれぞれ家から持ってきたものを机の上に広げて食べ始めた。見るとみんなはパン食で目玉焼きを挟んだものやバターに砂糖をまぶしたものやよくて細長いパンにソーセージが入ったものを食べている。私は弁当箱を取り出してふたを開けおにぎりを取ろうとすると生徒がどんなものを食べているか見回っていた先生が私の所に来て弁当箱の中を見て言った。
「Não pode comer, está podre, não pode !」 えっ、腐っているから食べちゃいけないって。今朝おばあちゃんが作ってくれたのに先生何言ってるのよ。腐ってなんかいないしおなかすいてるし、私食べる。 そして大きな声で言った「Não podre」 腐っていないと。それからは「Não pode!」と 「Não podre」の応酬になった。先生根負けして私の弁当箱を取ってみんなに見せながら聞いた、「おいみんな、この黒いカビと黄色いカビの生えた食べ物を知っているかい?」。 するとあちこちから 「あっ、ゴマにぎりと、きなこにぎりだ、おいしそうだな」と生徒たちから日本語で答えが返ってきた。
その小学校は日本人の田舎の集団地の中にあったので生徒のほとんどが日系人でそのころの日系人はみんな日本語を話していた。先生はもう一度ブラジル語で聞いた。「これは食べれるんだな?」 すると「Pode, pode!」の合唱。先生首をかしげて私に弁当箱を返した。
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