2011年11月11日金曜日

Buenos Aires 紀行 その3

着いた日の夜、8時前10分ロビーに下りた。母娘らしい二人がロビーのソファーに座っている。「ひょっとしたらタンゴショーに一緒に行く人たちじゃないかな」と言うと妻が早速行って何か話しているかと思ったら爆笑が起こった。やがて妻が戻ってきて「いっしょに行く人たちよ。チリから観光に来ているのだって」「でも何であんなに笑い出したの?」「チリに行ったことがあるかと聞かれたので行った事があると言ったら、どこが一番気に入ったかと聞かれたのでノーベル文学賞を受けた詩人パブロ・ネルーダの家だと言ったの、そしたらあのチャスコ-ナの所かと言ったのでそうだと答えて私の髪をひっぱってみせて、それ以来私のあだ名はチャスコーナになったのよと言ったら二人がお腹を抱えて笑い出したの」。スペイン語とポルトガル語(ブラジル語)、ゆっくり話せば会話レベルなら大体分かり合える。
たいていブラジルからチリへの短期観光は首都サンチャゴを見て海岸のまちValparaisoに降りその途中ワイナリーを見学。Valparaisoから避暑地ヴィニャデルマールを見てサンチアゴに戻るコースとなる。その中でパブロ・ネルーダが住んだサンチアゴとバルパライゾの家が博物館となっている。サンチアゴの家は船のキャビンのような部屋で波に揺られているのを表すかのように床がわずかに傾いている。ノーベル賞のメダルも飾ってあった。この家に一緒に住んでいた愛人マチルデ・ウルティアの愛称がチャスコ-ナ(乱れ髪)でその家もLa Chascona とよばれている。妻は生まれつきのボサボサ髪, パーマをかけたようになっている。スーパーに入ってそれぞれ別れて買い物をして、さて妻がどこにいるのかとあたりを見回しまず特徴のある髪を探す。チリから帰っていっとき妻を呼ぶときその「チャスコ-ナ」を使わせてもらった。
そういうわけでその母娘とその後ホテルで出会う時は挨拶を交わすようになった。
迎えのバスは8時過ぎに来た。私達4人が乗り込むといっぱいになり夜のブエノス・アイレスをバスはタンゴショーへと。バスの中の会話は英語とスペイン語とブラジル語が飛び交っている。やがてバスは止まりレストランと舞台が一緒になったところへそして夫婦はそれぞれ向かい合ってすわるように導かれる。メニューが渡される。メインにステーキを頼む。肉の厚さは3センチ以上。柔らかくてナイフがさっと入る。ブラジルで食べる肉より柔らかい。アルゼンチンワインと良くあう。隣は70を過ぎたリオからきた夫婦。なんでも今年はこれで三回目だそうだ。また年末には来るかも知れないと。割引航空券が手に入ればブラジル国内を旅行するより安くタンゴショーが見れおいしい肉が食べれるからだとか。
やがてタンゴショーが始まる。足が俊敏に動く情熱的なダンスだ。独特なリズムで次から次へと繰り広がれるタンゴショー。いつの間にか時計は12時をまわっていた。

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