2013年9月14日土曜日

我が家の犬猫物語(1)


ブラジルに来てから今まで53年間我が家ではほとんどいつも犬を飼ってきた。たいていは近所で生まれたのを貰って育ててきたので血統書はなく雑種とでもいうのだろうか。そして2001年から現在に至っているのが秋田犬。これは血統書が付いていた。それでも日本秋田ではなくアメリカ秋田だそうだ。第2次世界大戦で日本の秋田犬はほとんどいなくなり戦前にアメリカに渡っていた秋田犬がからだつきが大きくなりそれがブラジルに広まったようだ。たまに小柄の秋田犬を近所で見かける、あれが日本秋田だなと妻とうなずく。
サンパウロのモジで飼っていた犬で思い出すのはシロとチロとコロ。家では動物の名は大抵2文字で番犬として飼っていた。シロは黒と白のまだらの犬で人を横目使いで見て判断し「お手」を教えるといやいやながら差し出す。新しく家に入ってきた妻には、えさを貰っていてもいつもそっぽを向いていたそうだ。ある日、畑で仕事をしていたら白が盛んにほえる。いつまでたっても止まないので家のほうに向かって白のほえている所まで行ってシロがほえている方向を見ると犬小屋の中に今までみたこともない蛇が頭をあげシロとにらみ合っている、本で見たインドのコブラみたいだ。ちょうど持ってきていたEnxada(ブラジルくわ)でたたこうと思ったが、もしたたきそこねてかまれたら危ない、すごい毒蛇にちがいない。大声で助けを求めて父と弟を呼び3人で用心して退治した。

コロは家で生まれた犬で、だんだん大きくなるにつれ、けんか好きになっていった。どうやら一度けんかで勝ったらしい。カルモ植民地では川向こうやうちの土地の端のほうは林になっていてたまに猟師が狩をしにくる。家の窓から一度、鹿が畑の中にいるのを見た。その日も3人の猟師が3匹の犬を連れてうちの前を通っていく。コロがすさまじい勢いで家から下の道に向かってほえながら走って行った。相手は3匹の犬なのに無茶なけんかを仕掛けていくが大丈夫かなと心配になった。家の窓から見ているとコロは勢いよく3匹の犬の中に突っ込んだ。激しいけんかが始まるかと思ったが3匹の犬たちはきょとんとしてお互いを見ている。猟師たちが立ち去った後にコロが横になっているのが見えた。どうしたのだろうと私も家から飛び出した。コロはじっとして動かない。心臓麻痺なのだろうか?心臓マッサージをまだ温かい胸の上から何回もやってみたがとうとう息を吹き返さなかった。私がコロなどと名前をつけたのが悪かったと反省した。

私たちが自分の土地を買おうと話を進めていたとき父と私と弟の3人でその土地を見に行くことにした。借地をしていた所からカルモまでは約16キロ。もちろん車は持っていない。3人で自転車で行くことにした。田舎道を7キロ、アスファルトの街道を約6キロ更に田舎道を約3キロ。私たちが自転車で行きだすとチロが後から付いて来る。何度怒ってもついて来る。街道の途中のビリチーバの町を過ぎるとチエテ川に架かっている橋までは緩やかな下り坂。自転車でかなりスピードが出せる。ふと後ろを振りかえると今までついて来ていたチロがあえいでとうとう止まってしまった。自転車には乗せれないので私たちはそのままスピードをあげていった。土地を見た後の帰り道、チロは、はぐれたところにいない。どこに行ったんだろう? そのまま少しあがっていくと道がカーブし大きな木が数本ある。なんとチロはその木陰に涼しげに座っていてこちらを見ると立ち上がりなにもなかったかのように私たちの後からついてきた。

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