2016年10月31日月曜日

選挙は水物

10月30日はブラジル57の市で市長選の決選投票が行われた。57のうち18は州都、26州都のうち一回で決まったのはわずか8州都となり、かなりの混戦だった。
ここエスピリトサント州でも州都のヴィトリア市は1回目は得票数1位と2位は43.8%対35.3%だったのが51.2%対48.8%の接戦となった。

私たちの住むセーハ市は48.3%対43.7%が逆転して48.8%対51.2%。これには3位と4位の票が2位の候補に集まったらしい。人のうわさでは1位の候補者の奥さんの汚職が響いたようだ。一回目の投票を調べているうちに5位の候補者の得票数をみたらゼロとなっていた。これは理解に苦しむ。何かが起こったのだろうが調べるのが面倒なのでこのままにしておく。

カリアシッカ市では41.9%対35.0%だったのがこれは大逆転、47.5%対52.5%となった。35%から52.5%の大躍進。どんな戦略があったのだろう。

もう一つのヴィラ・ヴェリャ市は37.8%対31%が58.9%対41.1%と約7%の差が18%弱の差となった。

選挙は水物というが、どう変わるかわからないというのは本当だ。








2016年10月29日土曜日

エリッキ、ようこそわが家へ


22日の土曜日、サンパウロから亡くなった弟道夫の家族がヴィトリアに遊びに来てくれた。左から長女エリカ、座っているのがエリカの夫のEricで右は弟の奥さんの真由美さん。
3人とは今年の3月、弟行雄の3男の結婚式のときに出会い、ヴィトリアにも来てくださいと話をした。その時エリッキが興味を見せていたのを思い出し、この訪問は新しい家族の一員となったエリッキのおかげか。
次女ユカは二人目の赤ちゃんが生まれるので来れず、テレビ局に努めているアスカは仕事が忙しいとのことだった。

エリッキが仕事で休みが取れないとのことで週末の訪問となった。近くの海やConvento da Penhaなどといった慣れたルートを案内し、私たちも久しぶりに楽しんだ。

唯一の心配はなんと「水」だった。エスピリトサント州の水不足で1週間に1日の断水が2日となり、木曜日と金曜日の午後には水が来なくなった。そして今回、金曜日の午後にはとうとう屋根裏の貯水槽の水が干上がってしまった。こんなことはこの家に引っ越してきて初めてだ。お客さんが来るのにどうしようと思っていたらようやく夜中に水の音が聞こえてきたのでほっとした。

エリカは三井ブラジルに勤めているとのことで日本語もしっかりしている。エリッキは日本食が好きで家で出した日本料理やエスピリトサント州の郷土料理を喜んでくれた。

2016年10月16日日曜日

海の幸

毎年天候が許せば10月の中旬は近くの車で20分くらいで着く海岸でウニや海藻を取りに出かける。 一年に一度だが行く度に景色や海の動植物の生態が変化しているのに気付く。


この海岸は私たちが初めて来た40年前は砂浜がほとんどない海岸だった。確実に海は大きくなってきている。今年は特に大きな木があちこちで倒れている。車を置いた近くの、海辺のキオスクの主人とその話をするとこんなことを言っていた 「私は長くここに住んでいるが昔はこの辺まで海だったんですよ。ここを住宅街にするとかいう話が出て埋め立てが始まり、この辺はにぎやかになりました。しかし最近は急速に海の浸食がひどくなり浜辺の家は軒並み自然災害で壊されています。ほら、向こうに見える家は裏の菜園から直接浜辺に出れるよう塀にドアを付けましたが壊れかけているでしょう。あちこちでそういうことが起こっています。あと何年かで昔の景色に戻るのじゃないでしょうかね」。 そうだ、あの塀のそばを通る度にうらやましかったことを思い出す。
地球温暖化が急速に進みつつある今日、海辺の景色はどんどん変わっていくのではないだろう
か。

年の初めにインターネットで海軍省が出すブラジルの港湾の潮の干満表を見て10月の一番潮の引いている日をカレンダに記す。今年は今日10月16日が満月、潮の干満の差が大きな日だ。干潮は朝の9時8分と午後21時21分で何が基準になっているのか知らないが0.0m、海抜なのだろうか。満潮は午前2時 53分と午後15時9分で1,6m。これは各港で違うのでこの数字はこの近くのリオ・ドーセ社の鉄鉱石の積出港ツバロン港のものである。 一昨年5月に訪れたブラジル北東部のマラニョン州の州都サン・ルイースにあるイタキ港の干満の差は6.6m。ここからもリオ・ドーセ社は鉄鉱石を輸出している。

さてなんの話をしているのだろう? そうだ、ウニと海藻をとるには浜辺から水にちょっと入らなければ取れないので潮の引いた時には濡れずにそこまで行けしかも取りやすいという利点がある。
ウニは上の写真の岩の間にいて岩に穴を(溶かして)掘り住み家とする。住宅事情が厳しいところがあり、あぶれて家には入れないウニがおりそのうちの大きなのをとってくる。穴に入っているのは取るのが難しい。
NHKの朝ドラの「あまちゃん」では海の中に潜ってとるが、うちではアマチュアの妻が陸上で獲るので「アマちゃん」である。下の写真は獲ったウニを家でさばいたところだ。


さて私はひじきと海藻をとる。海藻はウニの食べ物で岩の間に生えているが年々少なくなってきている。海水の温度の変化か海流が変わったのかそれともほかの理由か車窓から今年はどこも緑が見えなかった。案の定海藻がものすごく減っている。私も間引きをするように残してとる。また来年も育ってくれと願いながら。
獲ったひじきと海藻を家で乾かす。今日は久しぶりに日差しが強く一日で乾いた。


2016年10月7日金曜日

野生のパパイア


今エスピリトサント州は未曾有の干ばつに見舞われている。人口約150万の大ヴィトリア都市圏では週に1日か2日の断水がある。

昨日は近くの知り合いの日本人の家を訪ねた。そこの旦那さんは農業技師でここから約78キロの小高い町に農地を持っていてコーヒーを栽培している。
「今年は雨が少なくて小さい大豆しか取れなくて豆腐はできないかもしれないが味噌には使えるかも知れないから取りに来て」と連絡があって出かけた。

「今年は雨が少なくて隣のコーヒー園はコーヒーの木が枯れかかっていたのでこのままおいていても来年の収穫も難しいからと言って全部切ってしまったよ。家のは少し程度がいいので残しているがコーヒー豆は小さいし収穫量も大したことはないだろう。」とぼやいていた。

「今年は近くの川から水をポンプで引いていいものを作ろうと新しい器具を買ったのだが使用禁止令が出ているので使えないし今年は苦しいよ」とのことだった。エスピリトサント州が位置するブラジル南東部は今年はよく雨が降っているがどうしてここだけ降らないのだろう。

「自家用に植えている果物も弱って実が付かないがこのパパイアだけは大きくなっておまけにおいしいんだよ」と言ってくれたのが上の写真のパパイア。日照りのせいか(成果)、確かにあまい。
「いつもだとハワイパパイア、とか台湾パパイアが取れるのでこの格好の悪い野生のパパイアは果物としては相手にされず、まだ青いうちに取られて砂糖と一緒に煮られお菓子の材料としてしか使われないけど、今年、実をつけているのはこの野生のパパイアだけなんだよ。今の農業と言えば交配されたり、改良されたりで経済的な面が強調されてそれらの栽培面積だけが大きくなっていくけど、地球規模の災難がきたらいったいどうなるのだろう?」 

2016年10月3日月曜日

ブラジルの地方選挙

昨日の日曜日はブラジル全土の市長及び市会議員の選挙があった。日本式に言うと市町村長と市町村議会議員選挙というのが正しいかもしてない。ブラジルは26の州と首都である連邦区のブラジリアからなる。各州内は行政単位のMunicípioに分けられる。
現在ブラジルは5570のムニシピオを有する。一番多いのはミナス州の853、次にサンパウロ州の645となる。私たちの住んでいるエスピリトサント州は小さいし人口も少ないので78のムニシピオに分けられている。アマゾン地域にあり以前の連邦直轄地域が州に昇格したところは人口が少ないので15、16,22などとムニシピオの数は少ない。ムニシピオの長がPrefeito(a) でそこの議会議員がVereador(a) である。

選挙の投票はたいてい近くの公立小中学校で朝8時から夕方の5時まで行われる。選挙は義務で権利ではない。私の最近の身近な経験ではパスポートの申請に投票証明券が要求された。公職に就くのにも必要だ。そういうことで投票率は非常に高く民意が反映されると思っている。
投票権利を持つものは16歳から18歳未満の人と70歳以上の人たちで自分の意志で投票するかしないかを決定することができる。私は72歳でその数少ない権利を持っている者の一人である。しかしやはり政治には関心があるので今年も投票に妻と一緒に出かけた。

学校の入り口にもあまり人は集まっておらず楽に中に入ることができた。教室の入り口にセクションの番号が書いてあるので自分の投票券と見比べて並ぶ。私の前には5人しかいない。妻のセクションはと見ると廊下の反対側の教室で列がなくすぐ入れるようだ。私の番が来て投票券とIDカードを渡し投票簿の自分の名前の所にサインして投票机に向かう。


投票机の上には上の写真の投票器が置いてある。市会議員は5ケタの番号、市長は2ケタの番号(政党の番号)なのでそれぞれの番号を押すと名前と写真がでるので確認して緑のConfirmのボタンを押す。1分もかからない。 そして出る前に投票証明券を自分が渡したIDと投票券と共にもらう。
この投票器の中には記録用のDiskが入っているので投票が終われば全てのDiskは選挙管理委員会の所へ持ち込まれすぐさま電子的に集計される。投票終了後2時間くらいでほとんど全ての結果が発表される。このシステムは1996年に始まったのでもう20年になる。それまでは投票箱に投票紙それを体育館などに持ち込んでの票読みだったので手間取った。

市会議員は今回の選挙で全員選出されるが選挙人口が20万人以上のムニシピオでの市長選では最高得票のほかに過半数獲得が要求される。誰もその条件を満たすものがいない場合は今回の一次選挙での最高得票獲得者と次点との間で10月30日に二次選挙が行われ決選投票となる。900万人近い選挙人口を持つサンパウロ市はこれまでほとんど決選投票があったのだが今回は最高得票53%だったので二次選挙はない。

ここエスピリトサント州では州都ヴィトリア市そしてそれを取り囲む三つの市で決選投票が行われる。また30日には投票に行かねばならない。

選挙日の学校の廊下はにぎやかだ。あちらこちらで話がはずんでいる。最近会ってない近所の人とか引っ越した昔の隣人とかに出会えるので、特に奥さん同士の話が長く続いている。妻も誰かと話している。「さっきの人は誰だい?」 「あの人は角のパン屋の女主人よ。住んでる家はほら私の友達のとなりよ」 「話は聞いていたが見たことはなかったので。」